関係性について

こころと脳の対話

こころと脳の対話

P.34
河合
僕がさっきいった話ですけどね、関係性と生命現象。これ、あんまりみんないわないんですが、ものすごい大事です。でも実際にやると、経験的にうまいこといくでしょう。すると、「この方法は科学的に正しい」と思ってしまうわけですよ。そこには方法論的な反省が少ないと思います。これが非常に問題やと思いますね。
行動療法なんかも、自分たちは科学的にやっているというふうに考えるわけですね。ところが、実際はそのなかには絶対、関係性が入ってくるんですね。

P.55
河合
僕がすごいと思うのは、仏教の「華厳経」の考え方は、関係性が優先していますね。感激しますね。個があるけども、個があっての関係というのじゃなくて、関係そのものが優先しているんですよ。だから「私」というのはないんです、「華厳経」でいうと。個の「私」はなくて、関係の総和が「私」なんだと。

すごい考え方。「個性」なんてものは、関係性における差異であるだけで、もともと存在しないものなのかもしれない。以前、音楽の「連続性」について書いたが、「関係性」も同様に重要だ。それは、団員との関係性でもあるし、ホールの響きやお客さん、温度や湿度、体調など多くの要因が関係する。その感覚はやはりライブでしか味わえない。

P.147
茂木
「しんどさ」というのに僕はものすごく興味ありまして。というのは、われわれでも、たとえば理論を考えているときに、この理論を考えるのはしんどいなぁ、というときがあるんですよね。でもそれがなんか意外と価値のあることだったりして。
そのとき、右の前頭葉のこの部分が、しんどさをモニターしているらしいというような研究もあるんですけども、でもそのしんどさを通り過ぎないと、価値あるものをつかめないというところもあるわけですね。

私は仕事が多いほうが集中力が出たり、質が良かったりするという傾向がある。また、最近いくつかのネガティブ事件(苦笑)があったけども、かえってそういう状態のほうが色々なことを考えたり、行動できたりしている。そういうしんどい状態を一つ一つ乗り越えることで、何かを生み出せるのかもしれない。