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少し遠い本

梅田望夫著「ウェブ時代 5つの定理」を読む。これは、もう一度じっくり読まねばならないと思っている。というのも、あまりにも今の自分の思考と環境が違いすぎて、私に受け入れる準備が出来ていないからだ。読みつつも、どういう姿勢で読んで良いのかわからなかった。

P.70
なぜならまだ日本は、ロジャーの言うアメリカのようになっておらず、逆に機会の数のほうが、スタートアップ(注:起業のこと)を始めたいと思う人の数よりも、圧倒的に多いからです。逆に言えばチャンスも大きいということです。

これを読んだときに混乱した。日本はやりたい人よりも機会のほうが多いって?よくよく考えてみると、自分自身も含め、平均的な一般人の中では、起業なんてものは金塊を求めてパラシュート無しで真っ暗な崖から飛び降りるようなものであり、常にやってはいけないランキングの上位にいる。それは、一理ある面もあるが、機会の方が多いと言われると、実際はそうでもないのかもしれない、とは思う。

もう学歴は関係ないと表面的には言われつつ、実際はまだまだ根強く残っているわけだが、三流大学出(恥ずかしながら明かしてみる)の私から見ると、学歴が高い人は社会的に認知された給料が高い会社に入れるのは当然だと思う。そもそも学歴というふるいに掛けられ残った人々は、日本の社会から提示された踏み絵を踏まずに、粛々とルールに従い努力してきた。社会に出ても同ことをできるは当然だ。私は色々な縁で、学歴が高い人たちとつき合わせてもらっているが、共通点はその辺だと思う。とても立ち回り方が上手い。優れているかどうかは別として。

以前、ベンチャーというか、小さなSEの会社の社長をやっている人と呑みに行くことがあったのだが、我々の業界はゼネコンのようなものなので、どうしてもそういう会社は下請けとなる。すると、上のような踏み絵をしなければならなくなる。サラリーマンとしてやるのもしがらみが多すぎるが、会社の社長となっても、大企業に媚を売ってやっていかざるを得ないというのはあまりにも悲しい。リスクを背負ってやっていることはとても尊敬するが、私はこのような人にもなりたくないと思ってしまった。

ということで、私の中では起業という文字はどこにもなかったわけだ。いくらビジョンを持っても、どこかの権力を持っている人に媚を売らなきゃやっていけないなんて、起業する意味は無い。

もう一つ。以前、ある技術セミナーに行ったんだが、そこで講演した人の取り巻きの世界が余りに奇妙に感じた。その人も含め、自分達は特別な世界を作っていて、そこに入っていない人は、何もわかってないだろう?という雰囲気なのだ。その人たちにしかわからない人の名前やキーワードが前触れも無く話しに出ると、ドッとその人たちが沸く。もちろん、私はそれらを知らない。

技術はオープンで、表向きはコミュニティもオープンだが、これがオープンと言えるのだろうか。もちろん、彼らは新しい技術を追いかけているわけだが、どうもある特殊な群れを作ってそこに所属していることを目的としている人が多いのではないかと懐疑的なってしまった。私は、技術的な興味はあるが、あのような群れに所属したいとは思わないので、彼らもロールモデルとはなりえない。

ということで、私の周りを見ると、日本で理想を追い求めるのは国民性とシステムが出来上がってないんじゃないかと思ってしまう。だから、インターネットを使ってある程度一人でやるほうが、現実的ではないかと感じるのだ。そういう意味で、この本は梅田さんの著書の中では最も私から遠い存在である。今のところ。

最近、今まで読んできた本の中で、心に残った本を読み返してみようかと思っている。おそらく10数冊。自分の考え方を再確認し、より強くする意味でも、必要なプロセスのように思うから。今回梅田望夫さんの本を読んで、やはりどこか元気付けられる一瞬がある。ということで、今読んでいる本が終わったら、自分にも整理をつけつつ、もう一度この本を読みたいと思う。

ウェブ時代 5つの定理―この言葉が未来を切り開く!

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虫眼とアニ眼

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冒頭の宮崎さんの幼稚園や街の構想の絵だけでも見る価値あり。「人間嫌い」になった人間についてや、都市化や自然との付き合い方など、興味深い。