読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

林 英哲 with オーケストラ

林 英哲さんのソロ活動25周年記念演奏会に行ってきた。

12月15日 サントリーホール [19:00開演]
出演:林 英哲 管弦楽:東京交響楽団、指揮:岩村 力、ゲスト・ソリスト&太鼓 近藤高顕(ティンパニ)、鈴木隆太(オルガン)英哲風雲の会(上田秀一郎、はせみきた、服部博之、田中嘉久、田代誠、谷口卓也)
1.鼓動(交響的変容第3部「ビートリズムの変容」より)
2.和太鼓協奏曲「飛天遊」
3.大太鼓とパイプオルガンのための協奏曲「風神雷神
4.モノプリズム(日本太鼓群とオーケストラのための)

チケットを取るのが遅かったので、P席になってしまった。でも近かったのでよく見えて臨場感があった。

1) 鼓動(交響的変容第3部「ビートリズムの変容」より)
近藤先生と二人でやるカテンツ。とても面白かった。近藤先生はやはりすごい!もちろん、音量という意味での迫力は和太鼓に勝てるわけが無いのだが、その表現や音楽性というのは、明らかに和太鼓と違う次元(いいとか悪いとかそういう意味ではない)のものだった。聴く前は和太鼓が圧倒的な迫力でティンパニを圧倒してしまうのではないかと心配していたが、ティンパニがあれだけ和太鼓と違う音楽性を表現しているとすれば、曲として成立するものなんだなと驚いた。それもこれも、近藤先生のすばらしい音楽性によるものなのだが。やはり日本一のPauker(少なくとも。世界でも数本の指に入ると思う)だと実感した。

2) 和太鼓協奏曲「飛天遊」
和太鼓がステージ後ろ中央に移動し、締め太鼓と大太鼓両方使いながらの協奏曲。オーケストラと和太鼓の特徴をよく生かした曲で、楽曲の完成度としてはこの曲が群を抜いていたと思う。少しずつ曲が盛り上がり、最後の和太鼓の壮絶な連打とオーケストラのtuttiあと、一発の大太鼓で終わる。この一発の音が、オーケストラともぴったり合って(なぜあれが合うのか全然わからない!)、至高の一瞬だった…。和太鼓というのがこれだけの力を持つことに驚き、力を与えるために身を削って太鼓を叩いている姿に感動を覚えた。また、掛け声が太鼓と同じくらいの存在感がある事に驚いた。やはり人間の声というのは、同じ人間として聴いている方にも大きな影響を与えるものなのだ。

3) 大太鼓とパイプオルガンのための協奏曲「風神雷神
確かに壮大な曲ではあったが、情景音楽と化しており、本来の太鼓の特徴を生かしきれていなかったと感じた。主役はオルガンで、オルガンが風神雷神を表現するという形になっていた。曲としてはいいのだが、これに太鼓を入れる必要があるのかは大変疑問だった。もちろん、演奏はすばらしかったのだが。

4) モノプリズム(日本太鼓群とオーケストラのための)
これは7人の太鼓を前で演奏する曲。迫力はすごいものがあった。なぜここまで身を削って表現しなければならないのか。ドイツのオーケストラを聴くと、一つ一つの音への気持ちの入れ方のすごさを実感するが、それと同じようなものを彼らからも感じる。日本のオーケストラの人たちも、見習うところがあるのではないだろうか。

日本人が長年にわたって演奏してきた和太鼓の音を聴き、先人がどれだけの想いでこの太鼓を叩いてきたのか、どれだけの努力がこの太鼓に表れているのかを考えると、何とも言えない想いが湧き上がってくる。鬼太鼓座で太鼓を始めた人たちの想いも、壮絶なものだったらしい。ずっとヨーロッパから生まれたクラシック音楽が好きで演奏までしているが、このような感覚はやはり故郷から生まれた音楽でないと実感できないのかもしれない。そういう意味で、ここまでの演奏を聴かせてもらった後のアンコールでは涙が出て聴いていられなかった。本当にありがたい演奏会だった。

次は是非、太鼓だけの公演を聴きに行こうと思う。